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特集(2003年6月26日 Vol.68)


    特集「滋賀県からシカゴへ 第10回世界湖沼会議はじまる」

  6月22日から26日までの5日間、米国イリノイ州シカゴにおいて、
 第10回世界湖沼会議が開催されています。
  特集では2回にわたり、この日本発の世界会議である湖沼会議について
 お伝えします。


  世界湖沼会議とは、地球上の淡水資源の多くを占める湖水の資源保全な
 ど、湖沼の直面するさまざまな環境問題について、研究者・行政・市民が
 一堂に会して問題解決に向けた取り組みを考えていこうとする会議です。
  淡水資源の重要性を確認し、淡水資源の量的・質的枯渇問題や発展途上
 国への先進国の支援のあり方、環境問題全般についても議論が交わされて
 います。

  この世界湖沼会議は、1984年に滋賀県が提唱して始まった会議で、
 当時は『一自治体』が『環境』をテーマに『国際会議』を開催するという
 ことで大変注目が集まりました。
  第1回会議は「世界湖沼環境会議」とよばれ、市民・研究者・行政が一
 体となった会議であることが前例のないことであり、湖沼環境問題を解決
 していくための新たなパートナーシップのあり方を世に提案した会議でも
 ありました。


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  世界湖沼会議開催の背景とは?
  ――――――――――――――

  1970年代、日本は高度経済成長時代で、琵琶湖という閉鎖性の水域
 から安定した水量が確保できることもあり、滋賀県も例外なく急速に産業
 が発展していきました。またそれに伴って人口も徐々に増加し、琵琶湖の
 水は周辺住民の大切な水源としても、その利用量が増えていきました。

  しかし1977年、突然の悲劇が琵琶湖を襲いました。琵琶湖に赤潮が
 発生したのです。
  赤潮は水中の栄養分が増加し(富栄養化)、植物プランクトンが大量に
 発生することによって起こる現象です。この赤潮が発生すると水中の酸素
 分が急激に減少し、魚介類が死滅してしまいます。これまで琵琶湖に何の
 問題意識も持っていなかった滋賀県民にとってこの赤潮の発生は、まさに
 青天の霹靂だったのです。

  ではこの赤潮の原因は何だったのでしょうか?
  それは家庭排水、特に当時使用されていた合成洗剤を使用したあとの洗
 濯排水に含まれる"リン"が琵琶湖の富栄養化をもたらし、それが琵琶湖に
 赤潮を発生させた、と考えられました。


  ――――――――――――――
  赤潮撲滅運動から世界会議へ・・・
  ――――――――――――――

  この問題に真っ先に取り組んでいったのが滋賀県の主婦でした。
  彼女たちは富栄養化を促進する『リン』を含んだ合成洗剤の使用の中止と、
 琵琶湖にやさしい粉せっけんの使用を呼びかける「びわ湖せっけん運動」を
 おこしました。その結果、大手洗剤メーカーは合成洗剤の製造と販売の中止
 に追い込まれ、現在主に流通している「無リン洗剤」を開発し、環境負荷の
 少ない製品としてそれを販売しました。
 
  このような動きを追いかけるように滋賀県は、1980年に滋賀県富栄養
 化防止条例を制定し、法律の面で琵琶湖を保全する動きをとりました。


  この滋賀県独自の湖沼保全への行動を世界に知ってもらうため、そして世
 界の湖沼と琵琶湖との連携を深めるために開催されたのが世界湖沼会議です。

  第1回会議を琵琶湖で開催したあと、アメリカ・ハンガリー・中国・イタ
 リア・霞ヶ浦(茨城県)・アルゼンチン・デンマークを経て、2001年に
 ふたたび滋賀県で里帰り会議として第9回会議を迎え、今年はシカゴで開催
 されています。


  次回はシカゴでの会議の速報と、湖沼保全の今後の展望についてお伝えし
 たいと思います。


 (特集担当:西尾) 


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