前回は、なぜ循環資源の国際的リサイクルが必要とされるようになったか
という背景について、『リサイクルの効率性』『産業の国際分業化』『求め
られる循環資源』という3つのポイントを整理しました。
では、循環資源の国際的リサイクルはどのように行われることが望ましい
のか、特にアジア地域における国際的リサイクルのあり方について、最新の
経済産業省の調査などを取りまとめてお伝えします。
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本当に大丈夫?国際的リサイクル
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循環資源を求めるアジア各国と、効率的なリサイクルを望む国の間では、
すでに循環資源の輸出入が活発に行われています。現状のやり方に問題が
無いのであれば良いのですが、そう言い切ることができないようです。
2004年、日本から中国の青島に向けて輸出された廃プラスチックの
循環資源がバーゼル法に違反する有害物質である、として中国政府が日本
からの廃プラスチック輸入を停止する事件がおこりました。
結局、有害物質の混入はありませんでしたが、未洗浄物や事業系一般廃
棄物が混入していました。中国政府の輸入品質基準に違反しているという
事で、約一年にわたって、日本から中国への廃プラスチック輸入はストッ
プする事になりました。
循環資源としてあるべき品質の管理や、取引国間での品質基準の統一、
その仕組みづくりがきちんと行われない限り、安定的で確実な循環資源の
取引を行う事には問題があるといえますね。
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アジア進出日系企業の悩み
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日本企業の多くが、アジアに生産拠点を置くようになっています。
アジア工場での廃棄物処理の実態は、どうなっているのでしょうか?
リサイクルワンが行った、日系電子電気機器メーカー工場へのアンケー
ト結果を見てみましょう。
■リサイクルしたい廃棄物(工場国所在別)
中国 : 有機汚泥
NIEs : 無機汚泥、混合プラスチック
ASEAN: ダンボール、単一プラスチック
■廃棄物の処理方法(国により差異があります)
・有機汚泥や動植物性残渣などが埋立処分
・重金属含有プラ容器やPCB、電子部品や廃電池なども埋立処分
・廃油や木くず、紙くずなどは、焼却処分
■廃棄物の処理価格
廃プラスチック類、汚泥、廃油の処理相場について比較すると
・埋立処分費用は日本よりも安価
・焼却処理費用については40円/kg前後で、日本と同等程度
■困っていること
・委託後、適正に処理されているのか、把握する事ができない
・中間処理事業者や最終処分事業者に関する情報が少ない
・事業所周辺に適切なリサイクルや処理ができる事業者が少ない
・リサイクルコストが高い
日本ではリサイクルされて当然のものが処理されていたり、埋立処分で
は環境汚染が心配されるようなものまで埋立てられている状況です。適正
処理やリサイクルについて、制度や施設整備が遅れている実態があるのが
伺えますね。
十分な設備のないところへ委託してしまったことで、環境を汚染してし
まう心配もあります。国際的リサイクルを考えた場合にも、各国での施設
や制度の充実と委託した廃棄物がどこへ行くのか、タイムリーに把握・管
理ができるシステムも必要です。
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北九州が、国際資源循環港に?
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経済産業省では、循環資源の国際的リサイクルを考える上で「持続可能
なアジア循環型経済社会圏」を目標に掲げています。これは『適材適所で
の適正なリサイクル』ということではないでしょうか。
日本国内には、スクラップを原料にできる精錬工場が17ヶ所あります。
ですが、現状、これらの施設では持っている処理能力のうちの、50%程
しか稼動していない状況にあります。
反対にアジアを見ると、フィリピン、タイ、インドネシア、マレーシア、
ベトナムなどは国内に精錬工場を持っていません。そのため、貴金属など
を含んだスクラップは、自国でリサイクルはできません。
これこそ適材適所、精錬工場の無い国から循環資源としてスクラップを
日本に持ち込んでリサイクルすることは、資源の有効利用と環境汚染の防
止を両立できるものといえませんか?
また、日本の資源戦略としても、希少金属を循環資源から確保すること
は、これからの産業発展のためにとても重要といえます。(vol.117参照)
これらの点に着目た、北九州を核とした国際資源循環港構想が持ち上が
っています。
日本最大のリサイクル施設集積地である北九州に、アジアで廃棄された
貴金属スクラップを輸入し、選別、破砕した上で、精錬施設がある秋田港
や横浜港などへコンテナ輸送する仕組みなどが検討される予定です。
この構想が実現すれば、日本のリサイクル技術を活かして、海外の処理
困難物である蛍光灯や廃バッテリー、PCBなどまで受け入れることもで
き、アジアにおける環境保全で大きな役割を果たすことができますよね。
廃棄物処理は『安きに流れる』傾向が強く、経済原理に任せることが難
しい、とも言われていますが、上手に仕組みづくりをすることで環境と経
済の両立を進めていくことはできるのではないでしょうか。
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