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| 特集(2004年7月7日 Vol.89) |
特集「有限な資源を循環させる、鉛蓄電池のリサイクル」 |
| リサイクルワンには、廃棄物の処理にお困りの方から、さまざまなご相 談が寄せられます。中には、有害物質を含む特別管理産業廃棄物のご相談 もあります。 リサイクルワン会員である株式会社市川精錬所では、これらを完全、安 全、確実に処理し、貴重な資源である鉛を回収し、循環型社会に貢献して います。今回は、そんな市川精錬所の取り組みについて工場に見学に行っ た状況を交えながら、お伝えします。 昭和37年に設立された株式会社市川精錬所は、再生鉛製錬業として古 い歴史を持ち、実績、実力ともに業界で高い評価を得ています。千葉県市 川市にある工場の処理能力は、鉛換算で最大45トン/日。鉛2次製錬メ ーカーとしては関東圏で最大の処理能力を有しています。 市川精錬所は、自社で収集運搬は行わず、永年培われた製錬技術を駆使 して、カーバッテリーなどの鉛蓄電池から、貴重な資源である鉛を安全に 回収し再生すること、中間処理後の鉛以外の廃棄物が安全にリサイクルさ れることに全力を注いでいます。 ―――――――――― 鉛蓄電池のリサイクル ―――――――――― 先日、工場に見学へ行った時、門を入るなり、ガソリンスタンドなどで 時々目にするカーバッテリーが目に入ってきました。市川精錬所では、鉛 蓄電池のリサイクルを行い、鉛を回収しているのですが、鉛蓄電池とは、 どのような場所で活用されているのでしょうか。 鉛蓄電池には、大きく分けて産業用蓄電池と自動車用蓄電池(カーバッ テリー)の2種類があります。カーバッテリーは皆様にもなじみが深いと 思いますが、実は産業用蓄電池も、病院や高層ビルが火災などで停電にな った場合の非常用設備として、我々の身近で活躍しているのです。 市川精錬所には、帯鋸式電池切断機(水平に切断します)1台とギロチ ン式電池切断機(垂直に切断します)2台があり、鉛蓄電池の形状に合わ せて使い分けることによって、スピーディーな解体処理が可能となってい ます。 解体工程において、バッテリーケースや廃硫酸を取り除き、巣鉛(古極 板)だけを取り出し、乾燥させます。適度に乾燥させた巣鉛にダライ粉と コークスを混ぜ、反射炉に投入し、重油を燃料として1,150〜1,2 50度に昇温。溶融され、分離した鉛メタルと鉱さい(鉄や硫黄分など不 純物を含む)を、それぞれ一定時間ごとに反射炉から抜き出すことによっ て、鉛メタルと鉱さいが得られます。 反射炉は、5台あり、最大処理能力は45トン/日。処理フローは、下 記のようになっています。 コークス、ダライ粉 ↓ 鉛蓄電池→解体→精錬→粗鉛→製品出荷(ブリオン) ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 鋳造→製品出荷(合金インゴット) ↓ ノロ(鉱さい)、排ガス、粉じん 廃酸、バッテリーケース 反射炉から出てきた鉛メタルが固まったものは、粗鉛(ブリオン)とし て出荷されます。また、合金インゴットは、鋳造機による再溶解の工程を 経て、ユーザーの要求に応じて組成・形状などを調整し出荷されています。 再生された鉛は、もう一度蓄電池メーカーなどで再利用されます。 市川精錬所では、年間で500〜700トンの鉛を製造しています。 ――――――――――――――――― Web上で処理状況を確認できる?! ――――――――――――――――― 鉛蓄電池は、電解液が強酸、強アルカリのため、特別管理産業廃棄物と して取り扱われます。排出事業者にとっては、不適正処理、不法投棄など の不安をなかなか払拭できないのが、まだまだ現状としてあります。マニ フェストだけでなく、最終処分までの流れを、より鮮明にタイムリーに報 告して欲しいという要望が強まっています。 市川精錬所では、そのような排出事業者の要望に応え、各スタッフがデ ジカメを持ち歩き、廃電池の受入時および保管の状態、解体時の鉛極板 ・廃プラスチック類・廃酸の写真を撮影しています。画像追跡システムを 活用し、一次マニフェスト管理表に画像を入力。併行して二次マニフェス ト管理表に入力。それらの関連付けを行った後に一次・二次マニフェスト の関連付けを行うという手順となっています。排出事業者が、Web上で 処理状況の画像を確認できる画期的なシステムです。 排出状況によっては、上記のような画像追跡システムの対応が可能です。 まずは、お気軽にご相談ください。 ――――――――――― 徹底した無公害処理体制 ――――――――――― 鉛蓄電池には、バッテリー液(電解液)と言って、無色透明の硫酸が入 っているものが一般的です(鉛シール電池という蓄電池は廃酸を発生しま せん)。この液体は、腐食性が強く、金属を酸化させたり、人体の細胞を 侵し皮膚炎を起こさせるなど、非常に危険なものです。 したがって、市川精錬所では社内の安全講習会や、鉛作業主任者、危険 物取扱作業者の資格取得者を配属し、従業員の安全に特段の配慮をしてい ます。 公害防止対策としては、解体場の床に約60cm厚のコンクリートの打 設、およびコンクリート表面に厚さ2mmの鉛シートを張ることによって 、廃硫酸の地下浸透を防いでいます。また、各解体機毎に廃硫酸用の溝を 設け、地下ピットに貯留する構造になっています。さらに、作業員の靴底 などから、廃硫酸が飛散することを防止するために、プラスチック製のグ レーチングが敷かれてあります。 ――――――――――――― 鉛以外の廃棄物のリサイクル ――――――――――――― 鉛蓄電池の再生処理工程において、廃酸(廃硫酸)、廃プラスチック類 (バッテリーケースなど)、鉱さい、煙灰が発生しています。これらの廃 棄物を可能な限り再利用するための努力が行われ、リサイクル率100% を維持しています。廃プラスチック類の処理方法を、サーマルリサイクル からマテリアルリサイクルへ移行するなど、資源を有効活用するための努 力が、日々行われています。下記にそれぞれのリサイクル方法について、 整理しました。 ◎廃酸 :中和・固化後、再生砂として再利用 ◎廃プラスチック:破砕・成型 ◎鉱さい :路盤材砕石 ◎煙灰 :鉛含有のため、再度反射炉に戻し鉛を回収 巣鉛を精錬する際、添加剤として鉄くずやカーボンなどを投入しますが 、これらも他の事業者にとっては必要のなくなった資源。コークス原料と して再生原料を利用することで、ここでも資源の有効利用に貢献していま した。有限な資源を守るための、大変貴重な処理技術だと言えます。 鉛蓄電池のリサイクルには、これだけの手間と時間がかかります。 来年1月に本格施行される自動車リサイクル法を控え、経済産業省と環 境省が共同で、「自動車用バッテリーリサイクル検討会」を発足すること になりました。輸入バッテリーの増加やバッテリー価格の低下などにより、 既存のリサイクルシステムの維持が困難になっている現状があります。 検討会では、今秋をめどに確実なリサイクルの仕組を構築することを目 指し、具体的な体制整備のあり方をまとめる方針です。 貴重な資源を回収するためにも、有害物質による環境汚染を防止するた めにも、鉛蓄電池のリサイクル業者への持込が加速するシステムが構築さ れるといいですね。 市川精錬所では、平成16年3月にISO14001の認証取得を受け、 循環型社会に向けて重要な役割を担う処理事業者として、より地球にやさ しい企業を目指しています。 株式会社市川精錬所のホームページはこちら → http://www.ichikawaseiren.co.jp/ 今回の特集に関するご質問など、お気軽にお寄せください。 ≫リサイクルワンへのお問い合わせはこちら(担当:梅中) ≫廃棄物・リサイクルなど環境課題をかかえる方はこちらへ |
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